中小企業存続の危機
リーマンショック後に大きく冷え込んだ日本経済も少しずつ立ち直り、昨年後半から大企業を中心に業績が回復しつつあります。しし中小企業はまだまだ厳しい状況です。日本の中小企業における赤字法人の割合は、以前は70%と言われましたが、最近は80%近くに上昇しています。さらに東日本大震災や欧州を震源とする世界的な経済危機によって、経営環境が再び悪化しています。
最近の中小企業で目立つのが売上の急激な減少です。前年比で半減という例も珍しくありません。かつてない危機的な状況に直面していると感じます。もはや企業が存続できるかどうか、その勝負の分かれ目にあるといっても過言ではありません。税理士の仕事は本来、申告業務のお手伝いです。しかし税務・会計の専門家として、もうそれにとどまっていてはいけないと強く感じます。
税理士に今、何ができるか。私は黒字化の支援だと考えています。以前は赤字をさほど気にしない中小企業もありました。赤字になってもすぐに潰れたり資金を借りられなくなるわけではないからです。しかしもう状況が違います。売上が落ちて会社にお金がない。いつ上向くかもわかりません。金融機関の姿勢も変わってきました。政府の後押しにより、少なくとも震災前までは中小企業を支援する姿勢がありましたが、最近は新規融資はもちろん今まできちんと返済していた会社も継続して融資を受けられず、資金繰りに行き詰まるケースが増えています。
これからは売上が伸びなくても会社にお金が残るようにしなければなりません。そうしないと存続すらできなくなる。黒字体質の企業に変わることが生き残りの大きなポイントなのです。
支えられるのは税理士だけ
企業を黒字体質にするには何が必要か。それは何よりもまず経営計画です。中小企業は経営者の才覚や能力によるところが大きいため、経営計画なんて不要と考える方もいらっしゃいます。しかし経営計画を作ることが、会社のことをもう一度しっかり見つめ直す機会になります。
経営計画は経営者と税理士が話し合って作ります。売上、人件費をはじめ経費、役員報酬など細かく数字を出していきます。しかし黒字体質でない企業は経費を節減してもたいてい赤字になります。「今のやり方では赤字を積み重ねるだけ」と気づいている経営者も多いのですが、仕事に追われて対策が後回しになっています。でも税理士と一緒にあらためて現実の数字を見て、将来の見込みを考えていくと「何とかしなくてはいけない」と強く意識するようになります。だから経営計画が重要なんです。会社を変えるきっかけになり、黒字化の道標になるのです。
では赤字をいかに黒字にするか。まず1年後、3年後、5年後の利益を定めます。借り入れ返済等のために最低限必要な利益額を決めてしまいます。そこから経費や仕入額などを逆算して売上目標を設定する。そして目標達成のための具体的な行動を決め、実行していくわけです。初めて経営計画を作った企業なら四半期ごとに試算表で数字のチェックや見直しを行ない、目標に近づけます。これを続けることで経営者の力が高まり、企業も強くなります。
これから何をしなければいけないかは経営者が一番よくわかっています。ただ、一人ではなかなか踏み切れませんし、どの対策が効果的なのかを考えるには税務・会計の知識が必要です。そのサポートをするのが税理士です。やるべきことを実行できるように、一番いい方法でできるように支援する。最近は経営者の方々もそうしたパートナー的な存在を求めていると強く感じます。日本経済を支える中小企業の支援こそ、税理士にしかできない重要な仕事なのです。
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