社会科学研究所
研究活動
社会科学研究所では、現在、特に社会的な関心の大きい公会計や農業会計の研究領域に対して研究活動を行うことにより、社会の公会計や農業会計への関心に応え、社会に貢献するための研究活動を推進している。
(1)公会計研究分野
公会計分野に関する研究を促進することを目的とする。公会計分野、特に地方公会計においては、基準モデルや総務省改訂モデル、その他の方式(東京都方式等)が混在する中、地方公共団体における財務書類等の作成に係る統一的な基準設定が求められてきた。その結果、2015年1月に統一基準(「統一的な基準による地方公会計マニュアル」)が公表された。しかしながら、2018年3月までに各地方公共団体は具体的な財務書類の作成を義務付けられているが、いまだ様々な検討課題を有している。
社会科学研究所においては、公会計に関する学術的な研究を行うとともに、現実の官公庁や地方公共団体の具体的な会計制度導入のための具体策を提案することを目的として日々研究活動を行っている。また、地方公会計制度に関する社会の関心に応えるため、外部有識者を招いての講演会(2016年6月実施、講師:中神邦彰氏)の実施など研究活動以外においても広範な活動を実施している。2016年秋以降には、地方公会計制度に関するシンポジウムを開催してより一層の地方公会計制度の社会への啓蒙活動を実施していく予定である。
(2)農業会計研究分野
農業会計分野に関する研究促進を目的としている。農業会計については、戦後より様々な研究活動が行われてきているものの、農業経済学や農業経営学と比較して農業分野の会計に焦点を当てた研究は少ない。農業経営においては、一般的な企業経営と比較して、気象条件をはじめとする環境変化などによる不確実性の高さ等から会計学の本格的な研究が進んでこなかった状況である。
しかしながら、近年の農業経営を取り巻く環境変化によって、農業経営における計数管理思考の導入が強く求められるようになってきている。TPP(環太平洋パートナーシップ連携協定)の継続的交渉、JA全中(全国農業協同組合中央会)の解体論、農業の六次産業化の進展、一般事業会社の農業事業分野への新規参入の増加など、わが国農業経営は大きな変革の時期を迎えている。農業経営も国際化の波に耐えうる経営構造を有し、市場競争力を有する農産物を生産する事業者として、戦略的な視点を有して行動することが求められるようになってきており、このような社会的要請に応えるために農業会計の研究をより一層進展させる必要性があると考えられる。社会経済資本としての農業に貢献できる研究活動を目指している。